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ニュース・コラム

幕あいラウンジ バックナンバー

うらわまこと
 
Vol.27 舞踊界にもNPOが生まれる 
  ーぜひ成功をー」  
2001年3月27日
 

 この3月中旬、2つの会合に出席する機会がありました。1つは3月16~17日に行われたJCDN(ジャパン・コンテンポラリー・ダンス・ネットワーク)の発足記念シンポジウムと会員総会、そして3月20日のNBA(日本バレエアカデミー)バレエ団の受賞と設立記念パーティーです。この2つには重要な共通 点があるのです。それはどちらもNPO法人化されたことです。どうもアルファベットばかりで恐縮ですが、NPOとはノン・プロフィット・オーガニゼーションの略で正式には特定非営利法人ということです。これをきちんと説明するのは簡単ではないのですが、端的には、利益を目的とするのでなく、社会的に意義のある活動をする団体として公的に認められたということです。社会的に意義があるとは、環境や医療福祉などとともに芸術の振興も含まれるのです。このNPO法人は他の分野にはたくさんありますが、私の知る限りでは舞踊関係では初めてだと思います。
 JCDNは名前の通り、主としてコンテンポラリーダンスのアーティスト、団体、プロデューサーによって組織されており、NBAは多くのバレエスタジオや教室を基礎として、そこの在籍者を主体に組織されたバレエ団です。前者はコンテンポラリーらしくシンポジウムを、そして後者は昨年の文化庁芸術祭の受賞祝賀をかねて華やかにパーティーが開催されました。発足以来数年を経てさまざまの活動実績のあるNBA、一昨年に設立準備室を発足させて着実にNPO化を目指してきたJCDNと、その具体的な活動の目的も方法も異なりますが、その基本は同じといってよいと思います。
 それは、現在の舞踊界、そしてアーティストの置かれた状況に危機感をもち、それを打開する1つの手段として志を同じくする人、団体が協力しようというものです。NBAは1月の発足時に80名を超える指導者(バレエ団員は除く)が、またJCDNは3月の発足時に110名を超える会員が構成員となっています。
 もちろん、これはスタートで、成果を上げるのはこれからです。基本的にはどちらも芸術レベルを高め、それを観客に見易い形で提供することですが、そのためにもいろいろな課題があります。研究や相互啓発も必要ですし、経済的な問題の解決もありますが、それ以外にそれぞれ次の点が大切なことだと思います。NBAでは会員メンバーへのサービス、たとえば装置や衣装の共用、さらに広い意味での共済活動、保険や年金なども考える必要があるかも知れません。またJCDNでは共済も重要ですが、さらに営業活動、つまり会員が仕事をとりやすくするための役割も果 たさないと、発展しないのではないかと思います。もちろん、それには会員一人一人意識の変革と努力が求められます。
 このような公的な団体となることによって、一般の任意団体と違って社会的にも活動がしやすくなりますし、税制面 でも有利になります。もちろん、社団や財団法人でもいいのですが、これはなるのにきわめて難しい条件があり、これまでは税制的に不利な株式会社や有限会社にならざるをえなかったのですが、法改正によりNPO法人化が可能となったのです。法人になれば、任意団体(個人)よりも経理など事務や情報公開の面 でも一層しっかりした処理、行動が求められます。これは舞踊界の合理化、近代化には必要なことです。
 現在NPO化を考えていたり、しっかりした活動体制を作らなければ、と感じている人は舞踊界にもたくさんいると思います。それらの人のためにも、舞踊界そのもののためにも、この2つのNPOにはぜひ成功して欲しいし、わたしも及ばずながら応援したいと思っています。




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