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ニュース・コラム

山田マミのやっぱり、パリが好き

山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

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オーリヤックの大道芸フェスティバル

8月中旬にはオーリヤック/Aurillacというフランス中南部の町で、大規模な大道芸フェスティバルがある。人口2万7千人が住むこの町が一気に膨らむ3日間。
30周年をお祝いして、前夜祭の特別イベントがあるというので行ってきた。
フェスティバル前日だから、まだ公演はなくて、路上パフォーマンスがちらほらと。

アヴィニヨンの小型版という感じで、あちこちにポスターが貼り付けられている。

演劇中心だけれど、もちろんダンスもある。無料公演が多いのが嬉しい。

公演は明日から、宣伝はぬかりなく。

赤いトウシューズにチラシ入れてる。おっしゃれ~。時間的に見に行けないな~と思っていたら、路上宣伝に出くわした。

路上パフォーマンスかと思ったら、宣伝パフォーマンスだった。

子供の方が面白かったりして。

初日前の昼なのでまだまだ人出は少ないけれど、これが最終日ともなると、町を歩くのも困難になるほどの人出になるらしい。

浮浪者まがいの若者たちが連れている大型犬は怖い。一応躾けられていると思うのだけれど、飼い主がへべれけになったりしているから…

そして、日が暮れれば、これ!

30周年記念の今年は前夜祭が見もの。町中が巨大ろうそくで飾られた。Tシャツにロウソクを灯したのは素敵だったけれど、いたずらなのか偶然なのか、焼けて穴の空いたTシャツがあった。興味津々のフランス人、中がどうなっているのかを覗いているうちにロウソク消しちゃってた人もいました。フランス人って幾つになっても子供みたい。

町中がロウソクで飾られると言っていたので、もっとロマンチックかと思っていたら、ゴーゴーと火が吹き、真っ赤になった石炭コークスから火の粉が飛び散る過激な火祭りでありました。

8月なのにここ数日天気が悪く肌寒い。昼間はどうにか晴れていたのに、夕方になったら黒雲がずんずんとやってきて、ピカッゴロゴロ、バシャーっと激しい夕立。夜になって雨は上がったものの、強風が吹き荒れている。こんな中で大丈夫かな、と見回せば、やっぱりあちこちのろうそくが消えている。あらら~と思っていたら、黒の正装をした人たちが厳かに近づいて火をつけている。この強風に耐えるためなのか、もともとそういう計画だったのか、石油を補充しているから火力が強くてゴーゴー言っている。飛び火して街が燃えてしまうんじゃないかとハラハラ。

何もクレーン車で吊るしてまで…。あっと驚きのド迫力

肌寒い日だったので温まるにはちょうど良かったけれど、風は強いし、火傷するのではないかと心配する私の横で、友人は、バーベキューができるね、と。食べる事しか連想できんのか、あんたは!

自転車綱渡り。風は吹いているし、ロウソクの重さは随時変わっていくのに、どうやってバランスを取っているのだろう?

さて、翌日の初日、早速パフォーマンス会場へ。

朝10時の道化パフォーマンスで朝から爆笑。

イギリスから参加。国際的なんだなあ。

ポスターのKWAIDANの文字に誘われてコンセルバトワールへ。

イタリア在住の大西小夜子さんとフランス人のロベール・トゥッサンのコラボ。「怪談」と言ってもお化けが出てくるわけではなくて、現実とバーチャルを行き来するような印象でした。

棺桶はパフォーマンスの小道具。何しろ道路が舞台だから、裏も丸見え。

素敵だったのがこれ。おじさんがるんるんと踊りながら、髪に花をコラージュしていくのだけれど、センスがあるからその人の雰囲気に合った髪型になるのが素晴らしい。しかも無料!当然希望者は後を絶たなくて、これを何時間も続けているからすごい。

お花の美容師さんはイギリス人と見た。

人形よりおじさんの表情の方が面白かった

この銀色の人。アヴィニヨンでも見た。ブロンズ像になりきって動かない人がこうして道を歩いて立ち話をしているのは、なんか妙。他にもアヴィニヨンで見かけたパフォーマーが何人もいて、稼がなくっちゃねえ。

ISメンバーがいた町

フェスティバルに車で行く途中、ミュラ/MURATという町を通った。実はこの町には、ポルト・ド・ヴァンセンヌのスーパーマーケットを襲撃したアメディ・クリバリ容疑者が内縁の妻とともに2年間住んでいたところ。そして、シャルリー・エブド社を銃撃したクアシ兄弟もここに来て密かに計画を練っていたという。一見穏やかに見える山間の町に、いや、穏やかだからこそ隠れるのには好都合だったのかも。この山の何処かで射撃訓練をしていたらしいと聞いてゾッとした。

山田マミ プロフィール

幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。

 
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