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ニュース・コラム

幕あいラウンジ バックナンバー

藤井 修治
 
Vol.36 「身のまわりから改革を」  
2001年7月24日
 参院選もまじかで、テレビでも政党のコマーシャルをやってます。「日本一新」と景気のいいのや「日本を文化芸術の大国に」という心強いのもあります。構造改革は口だけでなく実行力で・・・とか、ほんとに口だけは勝手なことがいえるのが政治家でしょうか。
 欧米では人が集まった時には政治の話や自分の仕事の話はしないのが紳士の条件だなどということを聞きます。ところが仕事人間ばかりの日本では仕事の話が圧倒的に多いようです。居酒屋では退勤後のサラリーマンたちが仕事の話で大盛りあがりで、部長がいけない、社長が悪い等々、ついには総理大臣が変人だ、世の中が狂ってるとか、政治の話にまで発展することもあるようです。
 昔は居酒屋でなく床屋で政治談義というのが定番だったようです。何々大臣は無能だとかのすえ、オレが総理だったらどうするとか、総理大臣になれないからこそ、そんな話でストレス解消になったのでしょうか。
 考えて見ると日本では文化芸術の話はあまり出ないようです。日本を文化芸術の大国にという政党のコマーシャルは、その点では理想を述べているんでしょうね。
 日本は文化国家だといいながら、国立劇場や新国立劇場の予算は、フランスでのパリ・オペラ座の予算に比べると比較にならないほど少ないそうです。しかしオペラやバレエのファンでない人が、新国立劇場の中をのぞいたら税金の無駄 使いだと大怒りするかもしれません。事態は複雑です。そのせいか、芸術ファンはそんな話はしていないみたいです。しかしオタクは多いようで、若い人たちがクラシックのコンサートの帰りの電車の中で演奏批評をしているのを聞くと、重箱のすみをつついているようで、あまり気持ちのいいものではありません。話が聞こえてくるのは面 白いけど、けっこう恥ずかしくもなります。でももっと本質を突くような話で向上して欲しいとも思ったりもしますが、若さの特権でしょうか。
 さて、居酒屋に戻りますと、やはり居酒屋で演奏批評やバレリーナの風評などは似合わないような気もします。結局は仕事や政治の話になってしまうのでしょうか。ところが政治改革を叫んでいるオジさんたちの姿はあまり前向きとはいえません。会社帰りでしょう、スーツの上衣を脱いでワイシャツの袖をまくりあげて楊子を口にくわえたりしている保守的ともいえる様子は少しわびしい気もします。居酒屋のいっぽうで元気にさわいでいる若い男女を見ていると政治の話どころか仕事の話もしてないみたい。何を話しているのか今度聞いてみたいとも思います。
 しかしオジさんがたと違って若い男女の風俗のほうが改革的といえます。見るだけでも面 白い。故鈴木その子さんの努力もあってか、ガングロヤマンバは流行おくれで、夏なのに美白レディが主流になっているようです。でも茶髪のギャルが圧倒的に多いのに感心します。新聞を見ていたら牧阿佐美バレエ団の新作の「デューク・エリントン・バレエ」の振り付けの際に、振付者のローラン・プティが日本人の黒い髪がきれいで好きだから、茶髪にしているダンサーたちの髪の毛を黒く戻すように申し渡したとか。日本人は外国に憧れるあまりに日本のよさが見えなくなってしまったのでしょうか。でも若い時に一回ぐらいは茶髪や金髪にしてもいいようにも思います。実は僕もロンブーの亮(わかります?ロンドンブーツの亮君のことです。これでもわからない?)のように白い髪にしたいとも思うのですが、僕が白くすればいままで白髪を染めていたのが色が落ちてしまったのかと思われてしまうでしょう。やはりあれは若い人のものでしょうか。しかし最近沢田研二がまっ白にしていますね。本当に偉いなと感心します。
 サラリーマン志望の若者も学生時代は茶髪のロンゲでジーパンで歩いていて、オレはスーツなんて絶対に着ないゾなんていっていたのが、就職活動や会社訪問のころになると、きちんと髪を切って紺のリクルートスーツなどを着てギクシャク歩いているのを見ると、おかしいし微笑ましくもなります。男の子たちはけっこう気が弱いね。女の子たちが思い切ったファッションを楽しんでいるのに、男の子はある時点でピタッと保守的になってしまうのは不思議な気もしますが、やはり生活がかかっているもんね。どうせスーツを着なくてはいけないならば学生時代から時々はスーツをバチっときめてリハーサルしておいたほうが、いざという時かっこいいと思うのですが、どんなもんでしょう。
 さて僕はというと年はとっていますが一応はフリーターなので服装は自由なはずですが、劇場やコンサートホールに行く機会が多いので四季を問わずスーツのことが多いんです。かっこつけるわけではなく、スーツが好きだし、崩れた体型もかくしてくれるという利点もあるのです。でも洋服の選択は古い言葉ですがTPO、時と場所と機会によって使い分けるほうが自分も他人も楽しいと思います。
 先日、プールサイドでの納涼の慰安会に招かれました、極彩色のアロハシャツに白いパンツとサンダルで出かけたのでびっくりした人もいたようですが、ここでビジネス姿はおかしいでしょう。フォーマルでもカジュアルでも、やるからには上から下まで統一したほうが正解でしょう。僕の一見は派手なカジュアル姿も実は保守的な姿勢でやっているわけです。そのかわりフォーマルとカジュアルの振巾をできるできるだけ拡大して楽しみたいと思うのです。自分はまじめそうなサラリーマンだということでいつも目立たぬ スーツを着るとか、オレは少し崩れた職業だからネクタイはしないとか決めてしまうのはもったいない。時には思い切ったかっこうを試みたらどうでしょう。
 こういうことは衣装だけでなく生活全般にあてはまることで、大金を使わなくても工夫次第で生活を豊かに楽しくできるのです。
 ふだんは意外に深刻な生活をしている僕も、楽しい席に行けば元気を出して話の内容も話しかたなども明るくと努力します。これを軽薄だと見るのも勝手ですが、僕としては一生懸命に生きているんです。
 新宿のバーでオジさんたちが赤い色は何才まで着られるかなどと話していました。しかしこれは年齢ではなく着る人のキャラクターや気持ちできまるものと思います。若くても全然似合わない人もいます。年とったバレリーナでもクラシックチュチュが似合えばいつまでも踊って欲しいと思ったりします。
 さて選挙もまじかです。僕はできるだけ仕事や政治の話はしないようにしているのですが、投票には行きます。無力な庶民が政治に参加できる数少ない機会ですからネ。日曜日には少しは派手に行こうかな。明るい世の中にしてほしいので・・・。公明党の日本一新もいいのですがその前に自分一新もいいかと思います。
 先日NHKテレビにグッチ裕三が出ていて、とても面白い話のあと、終わりに座右銘として色紙に”Never too late,From now start"と書いていました。赤いドレスで知られていたあの故大屋政子さんの言葉だそうです。皆さんも思い切って赤いものを着てスタートしたら楽しいのでは・・・・?「おそいことはない。いまからスタート」



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