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ニュース・コラム

山田マミのやっぱり、パリが好き

山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

芸術の秋、食欲の秋

何かとイベントが続く10月。5日にニュイ・ブランシュがあって、11日から4日間はモンマルトルのぶどうの収穫祭。パリにだってワイン畑はある。でも、南ほど太陽が溢れているわけではないので、まずい赤より美味しいロゼをと、ここ数年はロゼが主流になっているらしい。収穫量が少ないから値段はグーンと跳ね上がって1本40~50ユーロ、しかも小瓶。一生に一度は味わってみたいなあ。

さて、ダンスも賑やかになってきた。新シーズンが始まって、久々に行く劇場は新鮮に感じる。

オペラ座はバランシンの「ジュエルズ」で今シーズンを開けた。フランス語では「ジュワイオー/Joyaux」。クリスチャン・ラクロワの衣装と装置の豪華なこと!

ダイヤモンドでは、幕が開いた途端にため息と拍手が沸き起こったほどの美しさ

新米エトワールのジェルマン・ルーヴェは、どんどん磨きがかかって、リュドミラ・パリエロ相手に堂々たる存在感。しかもノーブル。

素敵な一夜を過ごして振り返ると、ガルニエ宮が夜空に浮かび上がっていた。

「歴史的建造物の中でアートを」というシリーズがある。ルーブル美術館やシャトーでの公演で、劇場とは違う環境でアートを見るのも悪くはない。

今回は、パンテオンでヌーボーシルクのヨアン・ブルジョワの「La Mécanique de l’histoire」。
扉が開くのを入り口で待っていて、改めて建物のデカさに驚く。

天井が高いこの異空間が織りなす光と影がミステリアス。夜遅くにこんなところに来る機会は滅多にないからね。

聖人の墓でもあるから、ぼわーっと誰かが出てきてもおかしくない雰囲気だ。ワクワクしながら奥へ進むと、

フーコーの振り子があるあたりで揺れる人が。
演じているのは津川友利江さん。バレエ・プレルジョカージュから移籍しての初登場

パンテオンの4つの翼で行われたパフォーマンス 。回転し続ける台の上での男女の物語や、

ふわふわと空中遊泳する人、

一本足の机の上に椅子を乗せて、バランスを取りながら真ん中のテーブルに向かう人など、短いパフォーマンスを場所を移動しながら観る形式。
圧巻は、バベルの塔みたいな円形の台でのパフォーマンス。あちこちから人が出てきては消え、円柱の真ん中に落ちてはふわりと戻って来る人たちの無重力空間。こここは時空を超えたラビリンスなのだ。

昼間とは違う顔のパンテオン

出口を見れば、その向こうにエッフェル塔。さすがパリ、美しい。

憎い演出のパンテオンでした。

不思議な感覚を味わった後すぐにメトロに潜るのが惜しくて歩いていたら、

あら、ノートルダム寺院じゃん。こんなに間近で見たのは久しぶり。

人を楽しませることにかけては抜きん出ているブランカ・リー。新作「Solstice」が国立シャイヨ劇場にて。
全公演に付き添って、カーテンコールに姿を見せるブランカ・リー。初日だけ見て、さっさと別の場所に移動してしまう振付家が多い中、自分の作品とダンサーをちゃんと見守っているところは偉いなあと思う。

裏方さんも舞台に上げて、みんないい顔してる!もちろんお客は大喜び。

女装の男性が何人かいるなあと見ていたら、ブランカ・リーのお友達だって。さすがっ!

この日は特別に公演後に生演奏付きの無料パフォーマンスがあった。アナベル・ボネリーのダンスに、セルジュ・カクジの歌。しかもシャンペン付き。太っ腹の国立シャイヨ劇場。

あら、これって佐東利穂子さん?メトロの通路のポスターに思わず足を止めた。メッスのポンピドゥーセンターでは、日本特集をするのね。ダムタイプのエクスポに、池田亮司のコンサート、そして田中泯に勅使川原三郎の公演、まだまだある。え~!坂本龍一も来る!ちょっとこれは要チェックかも。
http://www.centrepompidou-metz.fr/node/42914

隣を見れば、イヴ・サンローラン美術館。アトリエが美術館になったのね。

おっと、これは私が撮った写真ではありません。メトロ1号線オテル・ド・ヴィル駅ホームの写真展

秋といえばキノコで、これがセップ。大きなキノコです。森で取ってきたのをもらったので、バイ菌や狐のおしっこがかかっていると危険なので、惜しげも無く皮をむき、傷んでいるところを削ってからフライパンで炒めたら、アレヨアレヨと小さくなってしまった。でも、ほんのり甘みがあって美味しいキノコだった。ぐふふ♪

山田マミ プロフィール

幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。