D×D

舞台撮影・映像制作を手がける株式会社ビデオが運営するダンス専門サイト

 

ニュース・コラム

山田マミのやっぱり、パリが好き

山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

map1-2

♪ぴっちぴっちチャップチャップどっしゃぶりっ!

天気予報では晴れると言っていたのにバケツをひっくり返したような土砂降りにあった。10分ほど白く煙る町を唖然として見ていたら、その後はからりと晴れる。雨宿りをしにカフェに入れってことかな?

今年はこのバケツをひっくり返したような雨が時々降る。そしてメトロ構内は雨漏りで通行禁止。注意書きも何もなく、ただテープが貼ってあるだけというのがパリらしい。

日も長くなって、屋外イベントの季節

パリ12区にあるヴァンセンヌの森の中にあるアトリエ・ド・パリでもフェスティバル・ジュン・イヴェンツが始まった。環境は良いのだけれど、メトロの駅から離れているのが難。無料送迎バスもあるけれど、私は自転車で行くことにしている。3日前から晴れますようにと天をあおいだのが良かったのか、どんよりしながらも雨は降らず。ラッキー!

夏至の6月21日はフェット・ド・ラ・ミュージック

ここ数年、フェット・ド・ラ・ミュージックの日に限って肌寒かったのに、今年は天気がよくて暖かい。となるとこの人だかり。どこからこんなに人が出て来ちゃうんだろうって感じだった。

今年は単独路上組が少なくて、カフェとの提携グループが多いなあ。

このグループは、カフェにビール会社まで付いていた。

音楽もいいけれど、やっぱりアフリカンダンスははまる。

フェスティバル・モンペリエ・ダンス!!

今年はアンテルミタン(舞台芸術の短期雇用者)の失業手当法改正に反対するためのストライキが勃発。

新聞によると、一部ではかなり過激な行動があったらしい。モンペリエ・ダンスと提携するウゼス・ダンス・フェスティバルが開幕当日に中止になってしまったので、モンペリエはどうなるかと心配したけれど、どうにか開催された。初日から数日間は中止公演も出たけれど、後半にいくにしたがって安定して来た感じだった。法の改正には反対だけれど、公演に向けてリハーサルを重ねて来た努力が水の泡になるのはもっと悲惨という声が多数を占めて、ストライキ促進派が譲歩した感じだ。

会場入り口には「今夜の公演は行われます。アンテルミタンのアーティストと裏方のおかげです。彼らはストライキをしない事を選びました。彼らはこの仕事が好きです。彼らは観客に迷惑をかけない事にしました。しかし、彼らの生活はおびやかされています」という張り紙。

初日に外部のストライキ派がなだれ込んだ会場では、厳しい入場チェックが。

そして公演前には裏方さんたちが幕前に立って現状を訴えて理解を求めています。

観客に配られた紙は、これ。「観客も連帯を」

そしてこの紙を高々と上げてアンテルミタンを激励。

シディ・ラルビ・シェルカウイの新作「生长GENESIS」は大盛況。

本も出版されてホクホクのシェルカウイ。

公演を見終えて外に出たらゲリラ的パフォーマンス。これはフェスティバルでもプログラミングされているサリア・サヌーのパフォーマンス。戦いの型をダンスにしたそうで、すごい迫力でした。

今年は無料ワークショップも充実。
ファーブル美術館の前庭で、犬の糞を気にしながら踊るのもなかなか楽し・・・

町ではこんな人を見かけました。ちなみにモンペリエ・ダンスとは全く関係ありません。
瞑想しているのかと思ったら、くわえ煙草の若者を一喝してました。悟りを開き、人を導く・・・。でもきっとこのお尻の下には小さな椅子があるんだろうなあ。

夜遅くまで街は賑わっている。あ~この開放感が、南仏だぁ~!!

アバンギャルドなコンクール、ダンス・エラルジー

2年前に鈴木ユキオ+金魚がファイナリストに選ばれたコンクール。人によって感想意見が違うために傾向がわからず。そんならこの目で確かめるか、と朝11時にテアトル・ド・ラ・ヴィルに行きました。
世界各国から319カンパニーが応募して、予選に出られるのが20団体と、競争率は結構高い。ワクワクしながら行った割には、客席はガラガラに近い。まあ、今日が予選で明日が決選だし、今日は夕方5時までの長丁場だからこんなものかな、と思っていたら、最終組が踊る頃にはかなり込み合って来ました。入場無料だから、のんびりと行ってみるかなって感じですかね。

前回見た人が、決選より予選の方が断然面白いよ!と言っていた通り、目が点になるような作品がいくつかあって、正直なところ、私のダンス観念は間違っているのだろうかなどと頭の中にたくさんの疑問符を描きながら見ていました。そんな中で笑ってしまったのがこの作品。オランダのカレル・ファン・ラエルとファニヤ・ルカヴィナの「BOKKO」。副題はThe ultimate fusionときた。オランダ人なのに英語なまりの日本語でまくしたて、バックは漫画で、日本語がばんばん出てくる。脳みそをこねくり回さなくても理解出来るというのはありがたい。じゃあ大の日本好きなのかと思ったら、英語なまりの韓国語も出てくるし、ホリゾントに大写しの韓国ギャルが「アンニョンハセヨー」と手を振っている。ここまでアジアにはまってくれると、カワユイと言いたくなる私。

ブリュッセルのユダヤ博物館で起きたテロ事件。タイムリーにこれを取り上げたアメリカのダヴィス・フリーマンの「What you need to know」は、ピストルや銃の解説。銃器の使い方なんかちっとも知らないから、へぇ~っと聞いていたけれど、最後に解説とは関係なく踊っているダンサーを銃で撃ちたい人いますか?という問いかけに、勢い良く手を挙げた人が何人もいて、しかもそれが女性だったので、ちょっとショックだった。
ちなみにグランプリは、ドイツから参加のパウラ・ロソレンの「エアロビクス」。エアロビは芸術なのか!?と驚いたけれど、カラフルな衣装の4人が同じような動きをしながら移動して、どんどん変わる構成は見事だったし、一番鈍そうな人が一番身体が柔らかくて、一番よく動いたのには意表をつかれた感じで吹き出してしまった。
このコンクールは「意表をつく」度合いがポイントなのかも…

山田マミ プロフィール

幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。

 
map1-2