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ニュース・コラム

山田マミのやっぱり、パリが好き

山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

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今年もアヴィニヨン・フェスティバル

今年は本当に暑かった。夕立による公演中止の心配がない代わりに干からびた。1日に一体何リットルの水を飲んだのだろう。その割にお手洗いに行かないというとは、ほとんどが汗となり、肌から蒸発しているということなのかしら。近年冷房完備の劇場が増えたから、公演を観るか、スーパーにいればなんとか暑さをしのげるということがわかった。とにかく外でうろうろしないこと。これが基本。

オフ参加組の大事な仕事の一つはポスター貼り。貼れる場所さえあればどこにでも!

貼ったからそれでいいと思ってはいけない。目立つが勝ちなので、他のポスターが埋もれようが知ったこっちゃぁない。マリー=クロード・ピエトラガラ演出、ご主人のジュリアン・ドルオーのソロ「ÊTRE OU PARAÎTRE/生きるべきか死ぬべきか」のポスター。埋もれているけれど、オーラが出ている。あわてて予約して見に行った。ダンスはうまいし、役者としてもいい。ピアニストの演奏も良くて、さすが!

貼れるところなら、どこでも!

木もいい迷惑

さりげなく帽子に

24時を回っているのに、ポスター貼りに専念。宣伝のためには時間も惜しまない。

せっかく貼っても自然落下したり引きちぎられたりして、道路に落ちてゴミと化す。ああ悲し。これを清掃局の職員がさっと処分。アヴィニヨン市は今月の清掃代がかさむのだろうなあ。

これは強力。自転車くくりつけて「貼紙禁止!」

朝10時。これが昼過ぎると

歩くのも困難になる。特にタンチュリエ通りは避けるべし。

これがインのカタログ

おなじみインのファンファーレ。 開場時と開演直前に鳴る。

アンジュラン・プレルジョカージュの公演は法王庁の中庭で。この写真のどこかに第一首相のマニュエル・ヴァルスが写っているはず。

「短期雇用者なしでは、文化は成り立たない」この日観劇のヴァルス首相に向けてのメッセージと見た。でもこんなことに動じる人ではないのだ。

これがオフ。今年で50回目

インのチケットは、ほとんどが前売りで完売。でもオフは口コミがものをいう。氣になる公演の開演10分前に行って列ができていたら大抵外れない。

満席と言われても、待っていればなんとか入れる。ウエイティングリストの有無を確かめることも忘れずに。

オフ村へいくのも忘れずに。

学校がオフ村に変身

貼り出された公演評を読んでじっくり検討。読めなくても、批評が出ているということは、何がしかの話題になっているといこと。

グッズ売り場はいつも混んでいる。カフェで軽食も取れるし、コンフェレンスもある。運良ければアーティストにも会えるわけだ。

今年日本からの参加は5団体。ダンスが昨年に引き続き参加のシャクティさんと花柳衛菊さん、そして沖縄文化振興船のSHIP OF THE RYUKYU。演劇が開幕ペナントレース、マリオネットが昨年路上パフォ−マンスが好評だったウータビジョン・カンパニー・ジャパン。

まずは、18時40分開演の村井雄演出「1969 : A Space Odyssey? Oddity! 」

(注)動画の中で「今年はダンスの参加がない」と言っていますが、これは「コンテンポラリーダンスがない」という意味です。シャクティさんのインド舞踊、花柳衛菊さんの創作日舞、シップ・オブ・ザ・琉球の創作民俗舞踊は、それぞれ好評を得ていました。言葉足らずでごめんなさい。
なお、「青い牛乳、赤い牛乳」と言っているのは、フランスには基本的に4種類の牛乳があるからです。

左から、緑の箱は脱脂粉乳、青が主に日本で広く販売されているものと同じで、赤が濃厚牛乳。濃厚牛乳を1リットル飲むと、確実にお腹を壊します。この他に生牛乳があります。

去年、このコラムでも紹介した時は青い人形。そして今年は白い人形で参加のウータビジョン・カンパニー・ジャパン。「ANGO-桜」で劇場公演も。

アヴィニヨンは基本的に貸し小屋なので、かなりの出費を覚悟しなくてはならない。しかし、弱小カンパニーにはそれだけの経済力がない。そこで、助成金の申請になる。地方自治体も文化を応援していますよ~という宣伝にもなるわけで、この看板。「NORD-PAS DE CALAIS地方、アヴィニヨンに来たる」。
また、LA PARENTHÈSE劇場はパリ郊外93県の劇場と提携していて、劇場側が年間企画の一環としてカンパニーを選出しているし、 Le Grenier à Selも地方自治体が劇場と提携してカンパニーを送り、助成をしている。助成を受けている団体の作品は、外れることが少ないので、これも要チェック。

橋を渡って川を二つ越えた隣町VILLENOUVE LES AVIGNONでも、独自のフェスティバルをしていた。ごった返すアヴィニヨンとは打って変わって、落ち着いた中世の街並みと、人の少なさにほっとする。

ここで見たカンパニー RETOURAMONT
面白そうな公演がいくつもあったけれど、カタログをゲットするのに時間がかかってしまって、今年は2公演のみ。来年は早めにチェックしよう。

1000以上もの公演をすべてチェックすることはできないし、路上のポスターは見にくいし、ならば会場に行ってずらりと並んだポスターを見ながら検討することもできる。

路上宣伝。いかに目立つかが肝心。開場待ちの列の前でするのも効果的。

ゴリラもいる。暑くないのかな。

知能犯。つり竿にチラシをくっつけて、狙った客めがけて糸を垂らす。それだけじゃない。気になる公演のチラシを配っている人を呼び止めて、「そのチラシをピンにひっかけて」
路上パフォーマンスはきつい。照りつける太陽、場所取り合戦、目の前を車が通るわ、ヤジは飛ぶわ、投げ銭してくれないわ…。でも頑張る。

そんな中で抜群に良かったのが菊沢さんの踊り。

http://kikuzawa2.wix.com/kiku
他にも日本人の素晴らしいミュージシャンがいたとの噂を耳にしたけれど、会えなかった。

ビジネス目的もいっぱいいる。フェスティバル期間だけ営業する店も多いらしい。

アフリカンパーカッショングループ。結構儲かっていると言っていた。

パフォーマンスだけじゃない。アフリカンヘアースタイル

特殊メイク

似顔絵

風船アート

あら、この方、モンペリエで見たような気がする。確か空中に座り説教をする怪しいインド人だったかと。

出店は場所が肝心。インの劇場の真ん前で店を広げるのはダメ。開場を待つ人の列に埋もれているので客は来ない。

あ~ら、車輪盗まれちゃってる。

ヌーヴェルダンスの騎手として80年代から活動を続けているダニエル・ラリューさん。現在はカンパニーを持たずに、演劇やオペラでも活動し、今年11月6~7日彩の国さいたま芸術劇場で上演される「アン・ピスト」に出演予定。この作品は、ドミニク・ヴォワヴァン、パスカル・ウバンとの共作・出演による、ちょっとコケティッシュで、ちょっとメルヘンチックな作品です。

夜10時。アヴィニヨンが32度で、

パリはたったの19度?

え~?あのジョン・マルコヴィッチがワイン作ってるの?アヴィニヨン市内のワインセラーで試飲ができるとのこと。あ~行けばよかった。もうパリに戻ってきちゃったから行けないよ~。情報を逃しちゃった~…

山田マミ プロフィール

幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。

 
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