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ニュース・コラム

山田マミのやっぱり、パリが好き

山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

パリ・オペラ座新企画

ボリス・シャルマッツの身体博物館がガルニエ宮に

バンジャマン・ミルピエがダンスの芸術監督になって、想像もしなかった企画で新シーズンが開幕。ガルニエ宮のホールや廊下でダンサーが踊るというもの。

エトワールのバンジャマン・ペッシュの「牧神の午後」は地下のホール。解説付きで面白かった。

アレッシオ・カルボーネのソロ。インプロかしら。
ダンサーが自分でコンピューターのボタンをクリックして、音楽が鳴ったら踊り出す。スタッフはいなくて、全てがダンサー自身によって構成されている。衣装も照明もないけれど、こんなに間近で見られるなんて、贅沢ぅ!

どうやっても見えないこともある。

ずーと前から気になっていたけれど、パリ・オペラ座ガルニエ宮の壁に穴が開いたまま。天下のオペラ座なのに、と思うけれど、目立たないところなら、まあいいか、ってことなのかな。

基盤を固める伊藤郁女

伊藤郁女さんの新作「私は言葉を信じないから踊る」が、10月14日 にパリ郊外
のサン・カンタン・オン・イヴリン劇場( Théâtre de Saint-Quentin-En-Yvelines
)で初演された。お父様の伊藤博史さんとの共演で、プライベートな部分もあって、今までの作品とは一味違っているのが面白かった。日本では上演しないとのことなので、興味のある方はヨーロッパまで来てください。

公演後のパーティーに現れたお二人をパチリ。
今年から伊藤郁女のカンパニーHIMEは、コンテンポラリーダンスのメセナBNPパリバ銀行財団のリストにアップされて、最低3年間の安定した助成を受けている。コンテンポラリーダンスのカンパニーで助成を受けているのはたったの10団体。その中に入ったということは、将来を期待されているアーティストのお墨が付いたわけ。過去には勅使川原三郎のヨーロッパ公演の助成をしていたけれど、3年間の長期助成は、ヨーロッパに本拠地を置く日本人アーティストとして第1号。頑張って~!

ストライキ オンパレード

9月に新学期が始まって、直ぐに教師のストライキ。政府の学習制度に反対してだ。その後もちょこちょこあったけれど、10月になれば、清掃局、SNCF(フランス国鉄)、エアーフランスと続々

エアーフランスのは過激で、組合員が交渉に望んだ代表二人のシャツを引き裂き、裸同然の代表がフェンスを乗り越えて逃げる写真が新聞に大きく掲載された。持ち歩いていてくちゃくちゃになってしまった新聞ですが、ご覧の通り。
2900人の大規模人員削減に反対してだけれど、私もシャルルドゴール空港に行って驚いた。チェックインカウンターに誰もいない!機械でチェックインをするのは最近は当たり前になったけれど、ここで荷物のタグまで印刷されて出てくる。それを自分でスーツケースに貼り付けて無人のカウンターに持って行き、自分でスーツケースをベルトコンベアーに乗せて、搭乗券と荷物のタグのバーコードをピッ。重量オーバーなら一旦手から離れたスーツケースがさーっと戻ってきて、画面に「超過料金をお支払いください」の文字。ひえ~、1キロオーバーで100ユーロは高すぎるから、慌てて荷物を入れ替えたけれど、ここまで完全機械化するとは想像もしなかった。人員削減を周到に準備しているエアフラが怖い。
ここ数年、ストライキが木曜日に実施されることが多いので、この日の移動は避けたほうがいいかもです。

歩いていたら、軽快な音楽が聞こえてきた。楽しそうなので行ってみたら、なんとストライキの真っ最中。

高級ホテルで働く人たちの労働条件改善を訴えてのストライキ。

なんで?フランス人~!!!

フランス人は顔を洗わない?
日本から来た知人に聞かれた。「フランス人って顔洗わないんですか?」
化粧品売り場で、いわゆる洗顔石鹸を探したけれど見つからなくて、化粧落としはたくさんあるんですけど・・と言う。そういえば私もフランスに来た頃に同じことを思って困っていた。
水は皮膚に悪いと思っている人が多いみたいで、「絶対にダメよ、化粧落としでしっかり落とすだけ!水で洗っちゃぁダメ!」と鼻の穴を膨らまして力説してくれた友人を思い出した。化粧をしない人に聞いたら、「シャワーを浴びた時にその辺にある石鹸でちょちょっと」「え?じゃあ身体を洗うのと同じ石鹸で?」「うん、そう」

写真左から、ネット販売のブルターニュの海水入り洗顔石鹸、クレンジングジェル水で洗い流すタイプ、クレンジングトニック液
今ではネットで見つけた洗顔石鹸か、身体を洗ったついでにチョチョイと顔までまとめて洗いになっている。知らず知らずのうちにフランス人化しているかも。

フランス人の発音じゃあ、ちーともわからん

10月31日グラスゴーで行われていた体操世界選手権で日本の内村航平が男子個人で総合優勝。スポーツニュースを見ていた夫が叫んだ「ニッポン、ニッポン、ウシュラ、チャンピオン!」「はぁ?」フランス人にはUCHIMURAがウシュラになってしまう。

ブドウの正しい食べ方

フランス人がぶどうを食べた後には茎しか残らない。種も皮もない。つまり、全部食べちゃうわけ。真似してみたけれど、苦くてダメ。なんで食べられるのかを聞いたら、「子供の頃は食べられなかったけれど、親に『食べろ!』と怒られて食べているうちに気にならなくなった」とのこと。「種や皮を吐き出すのが面倒臭い」という人も多い。私も無精者だけれど、やっぱりできない・・

今月の写真

ちょっとこっぱずかしい

噂には聞いていた乾燥ナマズ。怖いもの見たさでアフリカに行った知人に頼んで買ってきてもらいました。けっこう小さくて、片手に乗るくらいの大きさ。「小さいね」と言ったら、水に戻すとデカくなりますとの返事。その時にホコリやら何やらゴミがわさわさ浮いてくるらしいけれど、それにおじけずに料理をすること!だそうです。一般的にはふやかしてスープに入れるそうなのだけれど、子供たちはこれを引きちぎってそのまま食べるらしい。その勇気は私には、ない。

FKUSHIMAは語り継がれる

福島の原発で被爆した人が初めて労災に認定されたというニュースはフランスでも報道された。あれだけの被害をもたらしながら、初めての労災認定に、テレビのキャスターはまたもや目を丸くして報道していた。「またもや」というのは、震災後に福島原発から放射能が溢れ出しているのに、自主避難した人には助成をしないという日本政府の判断に、この女性キャスターが目を丸くしていたから。労災認定の基準は難しいものがあるけれど、それにしても・・・という感じだったのでしょう。

山田マミ プロフィール

幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。