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自分のままじゃ踊れない |
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いいお話ですね。そういう舞台こそ、観客は知らずに引き込まれてしまうんですね。
観客のことを考えると…、近頃考えていることなんですが、もっともっと普遍的かつ原始的なものにならないかって。ダンスイコール感情表現というのはそのとおりなんですけど、最近ちょっと勘違いしている人がいるかもしれない。むしろ私は、舞台上では自分ではないものに変身していて、感情表現の方法も全く異なるように思います。たとえば悲しいっていうのを例にすると、泣いて見せるようなことは絶対にしません。悲しい出来事のあったときに得る感覚や現象を舞踊として改めて再構築して表現する方法に専念します。これが見ている人の記憶にひっかかって、なんて悲しいんだろう、と感じてもらうことができたら、たぶん一番素敵と思います。 |
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ダンスにはもともとスポーツの要素があり、新体操やシンクロなどのスポーツはダンスの要素を取り入れています。平山さんは本能的にそれをご存じなんですね。北京でもシンクロナイズド・スイミングのチームに振付なさってますが。
一番最初は、日本代表の強化合宿に呼ばれて指導に行ったんです。選手にいろんな経験をさせようと演劇やジャズダンス、バレエの先生などが招かれた多様なプログラムで、今までになかったコンテンポラリーの独創的な発想を組み入れるというのが狙いでした。それ以来、試合があるとアドバイスをさせていただいていました。今、シンクロ界ではどんどんと総合芸術としての演技を求められるようになってきて、各国でプロの振付家が演技を手がけるようになってきたんです。このような背景から、北京オリンピックでの新作演技にも振付の専門家が必要という考え方になったんでしょうね。たぶん私の特徴は、身体は小さいのに動きがダイナミックに見えるということ、ですよね?枠にとらわれないコンテンポラリーの独創性と、私の演技の秘密も選手に伝えてほしいという意味も含めて頼まれたと理解しています。技のことも、どのくらい潜っていられるかも、評価の方法もわからないのでコーチや選手と相談、協力しながら一緒に考えていくということでお引き受けしました。 |
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それは、選手の方々にとってもいい経験ですね。
練習の際にはふつうはカウントかけるんですけど、私はなるべくイメージを大切にしたかったので、ほとんど数を数えないで進めました。動きの説明は…へんなことばかり言うから、笑われていましたよ。軸がだんだん斜めに落ちていくことできない?なんて言うと首をかしげながらやってくれて、反対側の足で大きく糸を巻いていくような感じでとか。右手が女性で左手が男性なの、だから右手が曲線で、左手は直線、右手と左手、女性と男性が出会う、とか。男性が女性を迎えに行く、というその場限りの言葉でも、あ、そういうふうに考えられるな、ってとらえてもらえました。デュエットの鈴木さんと原田さんは本当に高い技術を持っていて、美しいんです。私のほうが楽しんじゃっていました。 |
location:Ristorante SABATINI 青山 |
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ダンサーについては、どんな条件が必要だと思いますか。
この質問にほかの方ならなんて答えるかわからないけど、私の答えは「存在しないものをあると信じられるということ。」です。たぶんまだ知らない自分が経験してないことがいっぱいあるんだろうな、と冒険心があること。そして、それに向けて肉体酷使をいとわないこと。ここには夢があるんです。これはドリームという意味での夢とはちょっと違うんですが…。かっこよく表現すると“舞踊神に近づくロマン”かな。 |
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それは踊りの可能性みたいなことですか?
そうですね。舞台芸術としての舞踊はものすごく進んでいるから、現代ではなんでもできちゃうような錯覚があります。だから私は「やらないこと」を決めるように心がけています。たとえば、これまでの私の作品では映像は基本的に使っていません。おもしろくって編集にのめりこむ自分が想像できるから(笑)。あえて、です。昨年の「春の祭典」の創作時にも、これまで多くの振付家が手がけたのをみてきていますから、これはやらないということをいくつか決めていたんですよ。本当の意味での21世紀の「春の祭典」をつくってみたいと意気込んでいましたから。これってつまり…踊りの可能性は、珍しい手法を探して組み合わせる、ではなく、むしろどんどん原始的になっていくこと?これが理想かな、と思っているんです。 |
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